物語「彼女が一人で生きた理由」
2004年8月17日 ミニ小説彼女は昨日フラれた。
「君の傲慢さにはもう、ついていけない」
それが理由だった。
彼女が一人で生きた理由
今流行りの心理学部1回生の彼女は、
昨日、彼にフラれたばかりだった。
「どうしてよ。あんなに尽くしたのに!」
「心理学なんて全然役に立たないし、面白くない!」
前期に使い込んだ教科書を、部屋の壁に投げつけた。
高校時代から付き合っていた彼にもっと好きなって欲しくて
心理学科のある大学を選び、
対人関係に関する講義を積極的に取った。
しかし
「最近、君が重いんだ。」
その言葉と共に
「君の傲慢さにはついていけない。別れよう。」
部屋で彼女は泣き出した。
初めて彼氏が出来て、せっかく長続きしたのに。
(何がいけないって言うの?)
机の写真を見て、彼女は心の中で尋ねた。
(重い。傲慢。そう、重いの。傲慢なの。あいつだって・・・)
夏休みに入って、友達にもあまり会わなくなった。
(携帯・・・メール来るわけない・・・けど・・・)
彼からのメールはもう来ない。
分かっているのに、新着メールを問い合わせてしまう。
お盆だからか、友達からも来ない。
(今年は彼と旅行に行くからって、
お盆休みは帰らないことにしちゃっしな。
あいつ、勝手にキャンセルしたし。)
ため息をついて立ち上がり、窓の外を眺めた。
(山が綺麗。時間余ってるし、登ってみようかな)
川沿いに歩いていると、
綺麗な白髪の夫婦が写真を取ってくれませんかと
彼女の元へ来た。
「お願いします。」
差し出された写真は今発売されているデジカメとは違い、重かった。
「じゃぁ取りますね〜。ハイチーズ。」
嬉しそうに夫婦は
「ありがとうございます。」と丁寧にお辞儀をした。
「あなた、お一人なんですか?」
続いて婦人のほうが声をかけてきた。
「ええ。ちょっと、歩いてみようかなと思い立ったので。」
「良ければ、一緒に歩きませんか?」
そんな成り行きで日暮れまで、3人は川沿いをのんびりと歩いた。
老夫婦と歩くなんて。と最初は思っていたが、
友達と話すよりも楽しかった。
会話も昔の恋の話、テレビで話題の人、楽しい場所など
様々で、自分達とあまり変わりが無かった。
「ところで、お二人にはお子さんはいらっしゃらないんですか?」
「いいえ。それが、いないのよ。」
「あ、ごめんなさい。」
「いえ、良いんです。それが、僕たちの意志ですから。」
「子供が・・・いらなかったんですか?」
「いいえ。私たち、結婚していないの。戸籍を入れてないのよ」
彼女は驚いたが、その後旦那さんが詳しく話してくれた。
昔、哲学者の夫婦がいました。
彼らは、戸籍をいれずに、同棲のままで互いを愛しました。
普通なら戸籍が無く、子供もいなければ、
簡単に別れられる。だから周囲の人はいつか別れるだろうと
誰もが噂しました。結局実験なのだからと。
しかし、彼らは互いに切磋琢磨し、互いを愛し続けました。
私と妻はその二人の関係に憧れ、今実践している最中なのです。
結局、人間は一人では生きられない。
しかし、頼りすぎたり心が狭くては、一人で生きる羽目になる。
逆に、やりすぎたり、押し付けるのも問題だね。
本当の意味で相手を慈しまなければ、
特に夫婦は、やっていけないんですよ。理想を高く持つならね。
夕暮れ、彼女は元の彼に電話をした。
「急に電話してゴメン。今、時間いい?・・・うん。ありがと。
私、あなたのためだと思って、いろいろしてきたけど、
それは、私の自己満足だった。
押し付けて、ゴメンナサイ。
私、自分ばっかり大事にして、あなたを大事に出来てなかった。
もし良ければ・・・もう一度やり直すって出来ないかしら?」
ふたりは5年後、めでたく結ばれた。
「君の傲慢さにはもう、ついていけない」
それが理由だった。
彼女が一人で生きた理由
今流行りの心理学部1回生の彼女は、
昨日、彼にフラれたばかりだった。
「どうしてよ。あんなに尽くしたのに!」
「心理学なんて全然役に立たないし、面白くない!」
前期に使い込んだ教科書を、部屋の壁に投げつけた。
高校時代から付き合っていた彼にもっと好きなって欲しくて
心理学科のある大学を選び、
対人関係に関する講義を積極的に取った。
しかし
「最近、君が重いんだ。」
その言葉と共に
「君の傲慢さにはついていけない。別れよう。」
部屋で彼女は泣き出した。
初めて彼氏が出来て、せっかく長続きしたのに。
(何がいけないって言うの?)
机の写真を見て、彼女は心の中で尋ねた。
(重い。傲慢。そう、重いの。傲慢なの。あいつだって・・・)
夏休みに入って、友達にもあまり会わなくなった。
(携帯・・・メール来るわけない・・・けど・・・)
彼からのメールはもう来ない。
分かっているのに、新着メールを問い合わせてしまう。
お盆だからか、友達からも来ない。
(今年は彼と旅行に行くからって、
お盆休みは帰らないことにしちゃっしな。
あいつ、勝手にキャンセルしたし。)
ため息をついて立ち上がり、窓の外を眺めた。
(山が綺麗。時間余ってるし、登ってみようかな)
川沿いに歩いていると、
綺麗な白髪の夫婦が写真を取ってくれませんかと
彼女の元へ来た。
「お願いします。」
差し出された写真は今発売されているデジカメとは違い、重かった。
「じゃぁ取りますね〜。ハイチーズ。」
嬉しそうに夫婦は
「ありがとうございます。」と丁寧にお辞儀をした。
「あなた、お一人なんですか?」
続いて婦人のほうが声をかけてきた。
「ええ。ちょっと、歩いてみようかなと思い立ったので。」
「良ければ、一緒に歩きませんか?」
そんな成り行きで日暮れまで、3人は川沿いをのんびりと歩いた。
老夫婦と歩くなんて。と最初は思っていたが、
友達と話すよりも楽しかった。
会話も昔の恋の話、テレビで話題の人、楽しい場所など
様々で、自分達とあまり変わりが無かった。
「ところで、お二人にはお子さんはいらっしゃらないんですか?」
「いいえ。それが、いないのよ。」
「あ、ごめんなさい。」
「いえ、良いんです。それが、僕たちの意志ですから。」
「子供が・・・いらなかったんですか?」
「いいえ。私たち、結婚していないの。戸籍を入れてないのよ」
彼女は驚いたが、その後旦那さんが詳しく話してくれた。
昔、哲学者の夫婦がいました。
彼らは、戸籍をいれずに、同棲のままで互いを愛しました。
普通なら戸籍が無く、子供もいなければ、
簡単に別れられる。だから周囲の人はいつか別れるだろうと
誰もが噂しました。結局実験なのだからと。
しかし、彼らは互いに切磋琢磨し、互いを愛し続けました。
私と妻はその二人の関係に憧れ、今実践している最中なのです。
結局、人間は一人では生きられない。
しかし、頼りすぎたり心が狭くては、一人で生きる羽目になる。
逆に、やりすぎたり、押し付けるのも問題だね。
本当の意味で相手を慈しまなければ、
特に夫婦は、やっていけないんですよ。理想を高く持つならね。
夕暮れ、彼女は元の彼に電話をした。
「急に電話してゴメン。今、時間いい?・・・うん。ありがと。
私、あなたのためだと思って、いろいろしてきたけど、
それは、私の自己満足だった。
押し付けて、ゴメンナサイ。
私、自分ばっかり大事にして、あなたを大事に出来てなかった。
もし良ければ・・・もう一度やり直すって出来ないかしら?」
ふたりは5年後、めでたく結ばれた。
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