小中と通っていた塾では、読書のための時間がありました。
国語や数学と同じように、カリキュラムが組まれていて、
たくさんの生徒が受けていました。

「小公子」
「オーヘンリー短編集」
「しろばんば」
「坊ちゃん」
「三国志」など、
さまざまな本を読みました。

朗読練習や読解、感想文の作成、漢字調べなどが中心でした。
一番宿題の量が多いのに、楽しい授業で、
塾長の面白い解説を聴きながら、
自分なりの感想を書いて書いて、書きまくっていました。

当時その塾には、灘や国公立を目指す子が多くいて、
私には正直、レベルが高すぎる塾でした。

塾生は殆ど頭の回転の速い男の子で、
女の子は12中3人でした。
休憩時間はトランプとか、ゲームの話ばかりでした。

塾においてあったので、
将棋やチェスもよくやっていましたが、
皆強くて、いつも負けていました。

漫画もたくさんありました。(三国志とか水滸伝とか伝記など

小学校のうちは何とかついて行っていましたが、
中学2年になる前に、とうとう別の塾に変わりました。

ついていけない私は、休憩時間にこっそり、
「先生、全然わかんないです」
と、よく泣いてました(苦笑
でも先生は、丁寧に教えてくださって、
「それぞれの教科が好きなれれば、それでいいよ。」
と仰いました。

塾内テストでも、成績が廊下に貼り出されていました。

同じクラスの子は、塾内でもTOPの子ばかりで、
よく名前が書かれていました。
兵庫模試というテストでも、知っている子の名前ばかりでした。

そういう勉強では、全く、歯が立ちませんでした。

教科書を開くのさえ嫌になったこともあるし、
公式を覚えようなんて、そんな気力もなくなるほどでした。
負けるもんか!と頑張った時期も無い事は無いんですが・・・

彼らは今、みんな東京に住んでるらしいです。
連絡取るほど仲良くなかったし、友達伝いにしか、聞いてませんが。

でも、今は懐かしい。
あれだけ頑張る人の中で、たまに褒められたりした記憶もあって、
幸せな時間でした。
嫌いな子ばっかりだったけど、それがなんだか、懐かしいな。

前置きが長くなりましたね(汗

そんな時間の中で、今もよく読んでいるのが、
オーヘンリーの短編集。
その中の「賢者の贈りもの」が、私には、特別な話です。
一度、CMにも使われていました。

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ある年のクリスマス。
貧乏で、夫ジムにプレゼントを買うお金がないことを知った
妻デラは、自分の髪を質に入れることを決意しました。
とび色で腰まで届く美しい、長い髪を切り落としました。

髪を売ったお金で、デラは
ジムの持っている懐中時計にピッタリの、プラチナの時計鎖を手に入れました。

「たったあれだけのお金で、何をプレゼントできたって言うの?」
自慢の髪を切ったデラは、不安に思いながらも、
「ジムは、髪を切ってしまった私を綺麗だと言ってくれるかしら。大丈夫よね。ちょっと、髪が短くなっただけだもの。」
と心を落ち着かせながら、ジムの帰りを待っていました。

まもなく、ジムは帰ってきました。
短い髪の妻を見て、彼は驚きました。
何も言わず、ジムはデラへのクリスマスプレゼントの包みを渡しました。

中には、デラの失われた長髪にぴったりの、
べっこうの髪飾りが入っていました。
「私の髪は、伸びるのがとっても早いのよ。」
動揺しつつも、デラは喜びました。
そして、あの時計鎖の入った包みを、ジムに渡しました。

ジムは中身を見て、
「クリスマスプレゼントは、暫くしまっておこう」
といいました。

彼は、懐中時計を売って、デラへの髪飾りを買っていたのでした。

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温かいけれど、切ない。
辛い事があったら、この物語を読んでいます。

辛い経験は、きっと、未来に役に立つ。
塾で学んだ事は、私にとって原点だし、
勉強が嫌だと思っていても、
本を読む時間は一番幸せだった。

辛い事があっても、きっとその中には、喜びもあると思うから。

塾の勉強とこの物語は全然、繋がる所は無いけれど、
私にとっては、
これ以上、勇気をもらえる話はありません。

幸せになりたいと願って、
その結果が、複雑なものでも、
幸せを求めた、その姿は、美しいんじゃないだろうかと
思うから。

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