月みれば 千々にものこそ かなしけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
(つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ)
(わがみひとつの あきにはあらねど)
意訳:
月をみると、さまざまにすべての物が悲しく感じられるなぁ。
わたしひとりだけのための、秋ではないのだけれど
大江千里(おおえのちさと)
---
ほととぎす 鳴つるかたを ながむれば
ただ有明の 月ぞのこれる
(ほととぎす なきつるかたを ながむれば)
(ただありあけの つきぞのこれる)
意訳:
ほととぎすの啼く声がした方角の空を眺めると、
ただ有明の月だけが空に残っていたよ。
後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)
---
思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり
(おもいわび さてもいのちは あるものを)
(うきにたえぬは なみだなりけり)
意訳:
つれない人を思い悩み、それでも耐えて、命はあるものなのに、
こらえきれないでこぼれ落ちるのは涙であるよ。
道因法師(どういんほうし)
---
ながらへば またこの頃や しのばれむ
憂しとみし世ぞ 今は恋しき
(ながらえば またこのごろや しのばれん)
(うしとみしよぞ いまはこいしき)
意訳:
生きながらえるならば、つらいと思っているこの頃の事が
懐かしく思い出されるのであろうか。
かつては、辛いと思っていた時期が、今では恋しく思われるのだから。
藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)
---
わが袖は 潮干しにみえぬ 沖の石の
人こそしらね かわくひまもなし
(わがそでは しおほしにみえぬ おきいしの)
(ひとこそしらね かわくひまもなし)
意訳:
私の袖は、引き潮の時に見えることのない、沖の海中の石のように
人は気付かないけれど、あなた恋しさに流す涙で
乾く暇もありません
二条院讃岐(にじょういんのさぬき)
---
もろともに 哀れと思へ 山ざくら
花よりほかに しる人もなし
(もろともに あわれとおもえ やまざくら)
(はなよりほかに しるひともなし)
意訳:
わたしがあなたを懐かしむように、
あなたも私を懐かしいと思っておくれ、山桜よ。
今の私には、花よ、そなたよりほかに友もいないのだ。
前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)
---
一緒にいるときは嫌いで嫌いでたまらないのに、
別れると、恋しくなるものですね。
わが身ひとつの 秋にはあらねど
(つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ)
(わがみひとつの あきにはあらねど)
意訳:
月をみると、さまざまにすべての物が悲しく感じられるなぁ。
わたしひとりだけのための、秋ではないのだけれど
大江千里(おおえのちさと)
---
ほととぎす 鳴つるかたを ながむれば
ただ有明の 月ぞのこれる
(ほととぎす なきつるかたを ながむれば)
(ただありあけの つきぞのこれる)
意訳:
ほととぎすの啼く声がした方角の空を眺めると、
ただ有明の月だけが空に残っていたよ。
後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)
---
思ひわび さても命は あるものを
憂きにたへぬは 涙なりけり
(おもいわび さてもいのちは あるものを)
(うきにたえぬは なみだなりけり)
意訳:
つれない人を思い悩み、それでも耐えて、命はあるものなのに、
こらえきれないでこぼれ落ちるのは涙であるよ。
道因法師(どういんほうし)
---
ながらへば またこの頃や しのばれむ
憂しとみし世ぞ 今は恋しき
(ながらえば またこのごろや しのばれん)
(うしとみしよぞ いまはこいしき)
意訳:
生きながらえるならば、つらいと思っているこの頃の事が
懐かしく思い出されるのであろうか。
かつては、辛いと思っていた時期が、今では恋しく思われるのだから。
藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)
---
わが袖は 潮干しにみえぬ 沖の石の
人こそしらね かわくひまもなし
(わがそでは しおほしにみえぬ おきいしの)
(ひとこそしらね かわくひまもなし)
意訳:
私の袖は、引き潮の時に見えることのない、沖の海中の石のように
人は気付かないけれど、あなた恋しさに流す涙で
乾く暇もありません
二条院讃岐(にじょういんのさぬき)
---
もろともに 哀れと思へ 山ざくら
花よりほかに しる人もなし
(もろともに あわれとおもえ やまざくら)
(はなよりほかに しるひともなし)
意訳:
わたしがあなたを懐かしむように、
あなたも私を懐かしいと思っておくれ、山桜よ。
今の私には、花よ、そなたよりほかに友もいないのだ。
前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)
---
一緒にいるときは嫌いで嫌いでたまらないのに、
別れると、恋しくなるものですね。
コメント