百人一首より

2005年2月25日 ポエム
月みれば 千々にものこそ かなしけれ 
   
わが身ひとつの 秋にはあらねど
   
(つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ)
(わがみひとつの あきにはあらねど)

意訳:
月をみると、さまざまにすべての物が悲しく感じられるなぁ。
わたしひとりだけのための、秋ではないのだけれど

大江千里(おおえのちさと)

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ほととぎす 鳴つるかたを ながむれば 

ただ有明の 月ぞのこれる

(ほととぎす なきつるかたを ながむれば)
(ただありあけの つきぞのこれる)

意訳:
ほととぎすの啼く声がした方角の空を眺めると、
ただ有明の月だけが空に残っていたよ。

後徳大寺左大臣(ごとくだいじのさだいじん)

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思ひわび さても命は あるものを

憂きにたへぬは 涙なりけり

(おもいわび さてもいのちは あるものを)
(うきにたえぬは なみだなりけり)

意訳:
つれない人を思い悩み、それでも耐えて、命はあるものなのに、
こらえきれないでこぼれ落ちるのは涙であるよ。

道因法師(どういんほうし)

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ながらへば またこの頃や しのばれむ

憂しとみし世ぞ 今は恋しき

(ながらえば またこのごろや しのばれん)
(うしとみしよぞ いまはこいしき)

意訳:
生きながらえるならば、つらいと思っているこの頃の事が
懐かしく思い出されるのであろうか。
かつては、辛いと思っていた時期が、今では恋しく思われるのだから。

藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)

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わが袖は 潮干しにみえぬ 沖の石の

人こそしらね かわくひまもなし

(わがそでは しおほしにみえぬ おきいしの)
(ひとこそしらね かわくひまもなし)

意訳:
私の袖は、引き潮の時に見えることのない、沖の海中の石のように
人は気付かないけれど、あなた恋しさに流す涙で
乾く暇もありません

二条院讃岐(にじょういんのさぬき)

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もろともに 哀れと思へ 山ざくら

花よりほかに しる人もなし

(もろともに あわれとおもえ やまざくら)
(はなよりほかに しるひともなし)

意訳:
わたしがあなたを懐かしむように、
あなたも私を懐かしいと思っておくれ、山桜よ。
今の私には、花よ、そなたよりほかに友もいないのだ。

前大僧正行尊(さきのだいそうじょうぎょうそん)

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一緒にいるときは嫌いで嫌いでたまらないのに、
別れると、恋しくなるものですね。

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